特別展「驚きの明治工藝」@東京藝術大学大学美術館

東京藝術大学大学美術館で開催中の特別展「驚きの明治工藝」を観に行く。来場者を迎えるのは全長3mの《自在龍》(作者:宗義、明治-昭和時代)

本展で見られる工芸作品の数々は、すべて台湾人宋培安氏のコレクション。明治期から昭和にかけて日本でつくられ、ほとんどが海外に輸出された品々であり、極めて貴重な"里帰り"展。台湾でも数年前に本格的に披露されたばかり。

展覧会図録によると、宋氏は今から26年前に(本展には出ていないが)象牙彫刻の《卵売置物》と出会ったことをきっかけに収集を始め、現在では金工、木工、漆工、陶磁、七宝、染織など約3,000点を所有。本展には約130点が出展された。
会場内は数点を除いて撮影可能。作者不詳ながら極めて精巧な《邯鄲夢根付》など、サイズの小さい作品もあるので、スコープ等があるとより楽しめる。

初めて自在置物を見たのは、5-6年前にリニューアルしたトーハク本館常設展だったか。明治期特有の超絶技巧品については、清水三年坂美術館を取り上げたBSのTV番組で聞き嚙り、実物を2014年の「超絶技巧! 明治工芸の粋」で見て度肝を抜かれた。泉屋博古館分館で現在開催中の企画展は有田の磁器に特化しているが、明治期の工芸はやはり面白い。隆盛が短期間で収束したぶん、エネルギーが凝縮している。
自在置物は龍、蛇、鯱、伊勢海老、烏など約20点を見ることができる。
《自在鯉》のアップ。
自在置物は甲冑制作の技が活かされたもので、動かすことができる。場内にはそのあたりの解説展示と自在蛇の動画もあり。
自在置物の蜻蛉、蝶、バッタ、蟷螂など。材は鉄または銀。
本展では元の素材が全く判別できない作品も多数。例えば、下の画の《蝉》など。クイズも出題されている。
正解は、牛角、木、銀の3つの材。
ちなみに宋氏は会場内でお気に入りをひとつ挙げるとすれば、こちらの《蝉》とのこと展覧会公式図録より)
宮本理三郎《春日 竹に蜥蜴》 は木に彩色、昭和期のもの。
この両隣にある雀と蛙も精巧。
第2章は「技巧を凝らす -どこまでやるの、ここまでやるか-」とタイトルされていたが、この《蝸牛付竹花入》なんぞはまさにそれ。蝸牛は陶製。 作者は諏訪蘇山。
海野勝泯《背負籠香炉》
作者不詳・無銘の《鷺》。材は木ではなく竹。 
恵順作の《山姥香炉》は、老婆の口から煙が出るという細工。に 

大島如雲 《置物狸》
目鼻立ちのみならず、接地面の肉球までもがキュート♪

特別展「驚きの明治工藝」会期は10月30日(日)まで。本会場終了後、細見美術館、川越市美術館に巡回予定。
なお、EV直結の同館3Fで10月16日まで開催中の「台東区コレクション展-日本絵画の源流、法隆寺金堂壁画・敦煌莫高窟壁画模写-」も見応えあり。さすがは藝大といった内容(こちらは撮影禁止)

特別展「驚きの明治工藝」
www.asahi.com/event/odorokimeiji/






+飲食のメモ。
東京文化会館2Fにある、上野精養軒が運営するレストランForestier(フォレスティーユ)でランチ。
カニコロやオムライスなどTHE洋食メニューの中から、開館当時からあるというアメリカ風広東料理「チャップスイ」を単品でオーダー(隣接する《国立西洋美術館》世界遺産登録記念を受け、ミニサラダ他が付く¥1,959の限定メニューもあり)
メニューリストに「お急ぎのお客様にお薦め」とあったように、オーダーして3分くらいで出てきた。洋風の"中華丼"。
おいしゅうございました。ごちそう様でした。

Forestier(フォレスティーユ)
www.t-bunka.jp/shop/shop_list.html